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遺伝学的に肥満リスクが高くても減量は可能~低糖質食事法とレジスタンス運動の効果を確認~

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 本学ヘルスイノベーション研究科(SHI)では、未病コンセプトに基づく社会システムや技術の革新を起こすことができる人材の育成とともに、健康長寿社会を実現する研究活動を実践しています。

 その一環として、このたび本学の成松宏人教授、中村翔准教授が神奈川県立がんセンターと共同で実施した、RIZAP株式会社、およびジェノプランジャパン株式会社との4者で構成した研究グループによる、「肥満の遺伝学的リスクスコアと食事・運動介入プログラムの効果に関する研究」に関する成果についてお知らせします。

 

1 研究の背景・目的

 肥満は生活習慣病の原因となることが知られており、先天的な遺伝学的リスク(体質)と後天的な生活習慣の両方が関与していると考えられています。しかし、これまで遺伝学的リスクについては、横断的なBMI(体格を表す指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で求められる)の高低に対するリスク評価は行われていたものの、体重変化量や介入による減量の効果との関連についての科学的なエビデンスは不足していました。本研究では、遺伝学的リスクスコア(Genetic Risk Score[GRS])とRIZAPプログラムの効果との関連性を明らかにすることを目的としました。

 

2 研究方法

 2018年6月から2020年2月までにRIZAPが提供する低糖質食事法とレジスタンス運動によるプログラム(RIZAPプログラム)を開始した125名のデータにより、GRSとRIZAPプログラムの効果との関連を解析しました。さらに、GRSを加味したBMIの評価を包絡分析(Data Envelopment Analysis [DEA])により実施し、その結果(効率性スコア)とプログラム効果の関連も解析しました。

 

3 研究結果

 GRSの高低とRIZAP プログラムの効果との関連性は認めませんでした。一方で、効率性スコアが低いほどRIZAP プログラムの効果が高い(プログラム前後の変化率が大きい)という関連が観察されました。つまり、全体としてはGRS に関係なくRIZAP プログラムによりBMI が減少しており、GRS を加味したBMI の評価を実施することで、よりプログラムの効果が得られやすい集団が判別可能であることが示唆されました。

 

4 まとめ

 本研究の結果から、遺伝的に肥満リスクが高いと考えられる方々においても、RIZAPプログラムによる減量が可能であることが示されました。この成果は、「未病」の段階から個人の特性に合わせた予防的アプローチを施すことの重要性を裏付けるものです。

 本研究は、SHIの掲げる「未病」の概念に基づき、疾病の発症前から個人に最適化された予防的介入を行うことで、健康寿命の延伸と幸福度の向上に寄与する取り組みの一環と位置付けられます。本研究で得られた知見をさらに発展させ、遺伝的リスクを含む様々な個人差を考慮した予防法の開発や、それらの社会実装による研究成果の社会還元を推し進めてまいります。

 

(学会発表)

中村翔,齋藤義信,柳井美穂,江藤真哉,唐哉代,成松宏人.低糖質食事法とレジスタンス運動による介入プログラムと横断的BMIの遺伝学的リスクスコアとの関連の検証.第34回日本疫学会学術総会.令和6年2月1日(大津)

 

問合せ先

公立大学法人神奈川県立保健福祉大学大学院

ヘルスイノベーション研究科

教授・成松宏人、准教授・中村翔

 

ヘルスイノベーションスクール担当部長 沖田

電話 044-589-3312 shi-press@kuhs.ac.jp

 

地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター

臨床研究所 がん予防・情報学部 成松

narimt54@gancen.asahi.yokohama.jp

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