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本学特別研究員と教員の共著論文が国際科学雑誌に公開されました

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 本学特別研究員の坂本雄さんと渡邊亮教授の共著「The continuous increase in the number of newly medically attended cases of herpes zoster did not accelerate during the coronavirus disease 2019 pandemic in Kanagawa, Japan」が、日本皮膚科学会が刊行する国際科学雑誌「The Journal of Dermatology」に公開されました。

 

(公開された論文)

http://doi.org/10.1111/1346-8138.17513

 

研究の概要

 帯状疱疹は、患者の生活の質(QOL)を大きく低下させることがあり、社会経済的負荷の大きい、公衆衛生学的観点から重要な疾患です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下で帯状疱疹の患者が増えているという見解が一部の医師から提起されていましたが、定量的なエビデンスは限られていました。そこで本研究では、帯状疱疹の新規受療者数の推移について、神奈川県の大規模レセプトデータベースを用いて検討しました。

 結果として、帯状疱疹の新規受療者数は、COVID-19パンデミックの発生前から一貫して増加傾向であり、パンデミック下にその傾向が加速したことは確認されませんでした。逆に、COVID-19対策の一環として実施された行動制限が、帯状疱疹の新規受療者数の増加抑制に寄与したことが示唆されました。また、年齢層別の新規受療者数の推移から、新規受療者数全体の増加傾向は、人口の高齢化を一因とするものであることが示唆されました。

 本研究の結果は、地域の帯状疱疹の疫学を理解する上で有意義な知見であると考えられます。

 

渡邊教授から論文公開にあたってのコメント

 本研究は、本学が神奈川県を通じて受領する、神奈川県内の国民健康保険等のレセプトデータを用いて行った研究です。この研究では、臨床家の肌感覚として提起されている現象や課題について、レセプトデータを用いて丁寧に分析・解釈した研究であり、地域保険におけるレセプトデータの特長を用いた有意義な研究であると考えられます。帯状疱疹は、近年社会における関心や公衆衛生上の重要度が高まっている疾患でもあり、本研究で得られた知見が、神奈川県内外の医療政策や予防対策に活かされることを期待しています。

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