お知らせNews
戻る認知症発症リスクは不眠症状の重症度が高まるにつれて増大する~地域在住高齢者を対象とした7年間の縦断研究(研究報告)~
戻る本学ヘルスイノベーション研究科では、未病コンセプトに基づく社会システムや技術の革新を起こすことができる人材の育成とともに、健康長寿社会を実現する研究活動を実践しています。
その一環として、このたび本学の修士課程修了生のAung Thet Oo(指導教員:根本裕太講師)らが実施した研究の成果が、老年学分野の国際学術誌Archives of Gerontology and Geriatricsに掲載されましたので、お知らせします。
1 研究の背景・目的
わが国における認知症発症者数は、急激に増加しており、その予防対策の重要性がこれまで以上に高まっています。近年、運動・身体活動や社会的つながりなど、認知症予防に寄与する要因についての研究が進められているものの、睡眠に関する研究は十分に蓄積されていません。先行研究では、高齢者の5人に1人が不眠症状に悩まされていると報告されていますが、不眠症状の重症度と認知症発症との関連については明らかにされていませんでした。
そこで本研究では、山梨県都留市に居住する全ての自立高齢者5,255名を対象に実施した7年間のコホート研究のデータを用いて、不眠症状の重症度と認知症発症との関連を検討しました。
2 研究結果

- 7年間で878名(16.7%)が認知症を発症しました。
- 不眠症状が重くなるほど認知症発症リスクが高まるという、線形関係が示唆されました(図参照)。
- 一定の重症度を超えると認知症発症リスクが高まるような「閾値効果」は認められませんでした。
- 高齢者の認知症予防には、不眠症患者の症状改善だけでなく、不眠症にならないように日頃から健康づくりを進めることが重要であると示唆されました。
3 まとめ
本研究では、地域在住高齢者を対象に不眠症状の重症度と認知症発症との関連を検討しました。その結果、眠れない日が多い、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなどの不眠の悩みが強い人ほど、将来認知症を発症する可能性が高いことが示唆されました。この傾向は、性別や教育歴、高齢者の年齢層にかかわらず確認されました。不眠を単に「ある・ない」で捉えるのではなく、その重症度に応じて早めに対策することが、認知症予防に寄与する可能性があります。高齢期の認知機能を守るためにも、睡眠の問題を見逃さず、予防や改善に取り組むことが重要です。
(論文掲載)
Oo AT, Yamada T, Sato S, Takeda N, Nakamura M, Ueda T, Kitabatake Y, Maruo K, Arao T, Nemoto Y. Does Insomnia Severity Increase the Risk of Dementia? A 7-Year Longitudinal Study. Archives of Gerontology and Geriatrics. 2026:106274.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167494326001445
