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在学生・修了生の声(2023年度)

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※内容、所属等は、すべて「School of Health Innovation 2023」掲載当時のものです。

目次

古嶋 いずみ さん

臨床検査技師を対象とした
ワークエンゲイジメントを研究し
彼らの働き方改革の一助に

【履修モデル】ビジネスパーソン/アドミニストレータ
コンピュータ医用工学科卒業。製薬会社の診断薬機器事業部に勤務。仕事を続けながら、早稲田大学人間科学部健康福祉科学科(通信教育課程)を卒業。現在は血液検査装置のアプリケーションスペシャリストとして、医療機関への装置導入に関連する業務を担当。

 公衆衛生を学べる大学院は他にもありますが、SHIほど多様なバックボーンを持つ学生が集まるところはないのではないでしょうか。仕事で出張することが多く、平日に講義を受けられない日も少なくない私ですが、SHIでは長期履修も認められていて、無理なく単位 取得ができることも決め手になりました。
 現在は、臨床検査技師を対象としたワークエンゲイジメントに関する研究を進めています。近年、臨床検査技師を取り巻く環境や要求される仕事が変化しています。どのような要素が彼らの働きがいに関わるのか、働きがいを高める要素は何なのかを探り、臨床検査技師の働き方改革の一助となればと考えています。また、アプリケーションスペシャリストという職務上、検査データの解析を行うことがあります。これまでは経験的にサンプルの選択や除外、解析などを行なっていましたが、SHIで疫学やフィールド調査研究法、データサイエンスを学んだことで、より確実な解析を行うことができるようになりました。

 

 

 

 

渡瀬 晃久 さん

起業を視野に入れて
アカデミアでの学びが
人生100年時代への自己投資と考えて

【履修モデル】リサーチャー/ビジネスパーソン
理学部地球科学科卒業。エレクトロニクス専門商社に入社し、海洋開発、宇宙開発向けの海外電子機器の輸入・販売に従事。システム営業本部長、統括営業管理部長を歴任。役職定年後の2016年から、新規事業・ヘルスケア部門のエグゼクティブを担当。

 会社で進めてきたヘルスケア分野のビジネスについて将来性を感じ、セミナーへ参加したり独学で学んだりしてきましたが、それに限界を感じてSHIへの入学を決めました。また会社の事業とは別に、人生100年時代を有意義に過ごすために、起業などの個人的な取り組みを視野に入れて体系的にアカデミアで学びなおしたいと考えていたことも動機の一つです。
 修士課程ではレギュラトリーサイエンスにおけるAI医療機器のあり方を研究してきました。これは現在の仕事にも直結していて、業務で大いに役立っています。博士課程では音声病態学における音声変化と疾患重篤度の関係について研究しています。今後はR言語を使用したプログラミングによるデジタルバイオマーカーの提唱に取り組むつもりです。
 英語を使用する場面が多いこともSHIの魅力。国内企業内で触れる機会の何倍もの英語の知識の習得が可能で、特に英語による統計学やプログラミングでは大いに得るものがありました。

 

 

 

 

稲垣 大輔 さん

学びを全力で支えてくれる
環境がSHIにはあるから
まずは挑戦することが大切

【履修モデル】リサーチャー/ビジネスパーソン
臨床工学技士として大学附属病院に勤務。毎年ボランティアで開発途上国の医療支援を実施。SHIでは、経済産業省/JETRO主催「始動NextInnovator2020」や「東大EDGE-NEXT」へ参加して、現地の状況を改善するための事業アイデアをブラッシュアップしてきた。

 開発途上国の医療をよくしたいとの思いで現地でのボランティア活動をしてきましたが、支援を何年かしてきて、このままでは何も変わらないと思うようになりました。何がその原因になっていて、どうしたらよくなるのかを研究するためにSHIへ進学しました。現在は、日本および開発途上国の医療機関における医療機器の管理・保守に関する研究をしています。学ぶための時間のやりくりは苦労しましたが、授業以外のプログラムにも積極的に参加。そのかいがあり、ブラッシュアップしてきたアイデアで助成金の提供を受けることができました。卒業後はアントレプレー&イノベーターとして起業をする予定です。

 SHIには、さまざまな専門性を兼ね備えた先生がいて、自分のやりたいことを全力で応援してくれる環境があります。英語での講義にネックを感じる人もいるかもしれませんが、その点もしっかりサポートしてくれるので大丈夫。まずは挑戦し、途中でやめず、辛い状況でも続けることが重要だと思います。

 

 

 

 

沼田 誉理 さん

SHIでの学びを実践して
誰一人取り残されることのない
社会の実現を目指したい

【履修モデル】ポリシーメーカー
大学附属病院の急性期病棟で看護師として勤務。その後、オーストラリアに1年間ワーキングホリデーで滞在し、語学学習やアシスタントナースとして老人ホーム等で働く。2018年より市の保健師に。現在は区福祉保健センターで地区担当や介護予防等の業務に従事。

 保健師として地域で働いているなかで、社会的な課題が要因となって健康的な生活ができない人がたくさんいることを知りました。社会的な構造や政策を変えていく必要性を感じ、公衆衛生とヘルスイノベーションを学べるSHIに入学しました。授業は仕事が終わった後の夜間の時間帯と土曜日、オンライン授業も併用でき、社会人でも学びやすいのもポイントでした。

 現在は、新型コロナウイルスワクチン接種における健康格差をテーマに研究を進めています。今後も、健康格差解消のための政策提言につながる研究や、情報が届きにくい層にもアプローチできるようにヘルスコミュニケーションについて学びを深めていくつもりです。SHIで学んださまざまなアプローチ方法を実践して、誰一人取り残されるこ とのない社会の実現に向けて、健康の社会的決定要因(SDH)に基づく健康格差解消のためのアプローチや支援に取り組み、解決につなげていきたいと思っています。

 

 

 

Truong Thi Hoa さん

先進国の電子カルテに感銘を受け
母国の医療課題に取り組むべく
ヘルスイノベーションを学ぶ

【履修モデル】リサーチャー
ハノイ医科大学卒業後、公衆衛生を学ぶために当研究科に入学。現在、ベトナムのヴィン大学(Vin University)のカレッジ・オブ・ヘルス・サイエンシズ(College of Health Sciences)にて、リサーチコーディネーターを務めている。

 私は、ハノイ医科大学の4年時にスウェーデンのストックホルムにて、半年間の医療研修を行いました。先進国の医療産業を学びながら、私は、患者の記録が保管された医療電子記録システムに感銘を受ける一方、母国ベトナムの医療課題を解決するには、IT産業の協力が不可欠であることに気づきました。

 私の母国では、国立病院は、地域の医療施設よりも質が高く、患者で溢れ返っています。その一方で、電子医療記録システムのプラットフォームは統一されておらず、入院手続きに時間を要するなどの不便さが業務過負荷を招き、患者のケアサービスの質を下げています。そこで、私は、医科大学を卒業し、研修医採用試験を受けたのち、ヘルスイノベーションに対する理解を深めるべく、本学に入学しました。これは私にとって、母国の国立病院における業務過負荷の解決に近づき、患者ケアの質を改善するための第一歩になるに違いありません。

 

 

 

 

江頭 勇紀 さん

さまざまな背景を持つ人と
自由闊達な議論を重ねながら
自身の知見を広げていける

【履修モデル】リサーチャー/ポリシーメーカー
文化構想学部卒業。県庁に入庁し、安全防災局で災害医療をはじめとした防災訓練の企画立案、保健福祉局で医療費に関する行政計画の改定や医療データの分析を担当。デンマークでの医療ビッグデータの政策活用に関する調査にも従事。現在は健康医療部門に所属。

 SHIでは、公衆衛生に関する知識を身に付けられるとともに、従来の枠組みとらわれず、自由闊達な議論ができます。実際、私も多くの刺激をもらいました。例えば、医療政策を扱う講義では、高額薬剤の緊急薬価改定の実例を取り扱い、行政や民間事業者の役割に分かれてロールプレイングを行いました。医療業界を経験した人の知見から、ビジネスサイドから見た際の、薬価改定という政策判断が与える影響や、民間事業者やヘルスケアプロバイダーの行動原理を知ることができました。

 2年次には、神奈川県と共同で行ったCOVID-19に対するEBPMプロジェクトに研究チームの一員として参画。SHIで学んだデータサイエンスのスキルがそのまま実践へとつながりました。今後はCOVID-19による医療提供体制への負荷の軽減や、人口動態の変化を踏まえた持続可能な医療社会システムの構築に取り組むつもりです。リソースが限られ、かつサービスを求める人が増えるなかで、さまざまなデータを用いながら医療政策立案のプロフェッショナルになりたいですね。

 

 

 

 

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