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戻る男女とも、更年期症状が重いほど「出勤していても仕事の力を発揮しにくい日」が増えることを確認しました
戻る― 東京・丸の内14社、3,063人を対象とした研究成果が BMJ Public Health に掲載 ―
本学大学院ヘルスイノベーション研究科では、未病コンセプトに基づく社会システムや技術の革新を起こすことができる人材の育成とともに、健康長寿社会を実現する研究活動を実践しています。
その一環として、このたび本研究科の吉田穂波教授らの研究チームによる、東京・丸の内14社の従業員を対象とした更年期症状と仕事中の生産性低下との関連に関する研究成果が、国際学術誌 BMJ Public Health に2026年9月24日付で掲載されました。
1 研究の背景・目的
更年期症状には、ほてりや発汗だけでなく、睡眠の質の低下、疲れやすさ、気分の落ち込み、集中のしにくさなど、仕事や日常生活に影響しうる多様な症状が含まれます。更年期症状というと女性特有の課題として捉えられがちですが、実際には、加齢に伴い、男性にも疲労感や抑うつ気分、意欲低下などのいわゆるLOH(加齢男性性腺機能低下)関連症状がみられることがあります。
一方で、こうした症状が、実際にどの程度「出勤していても健康上の理由で十分に力を発揮できない状態(プレゼンティーズム)」と関係するのかについては、特に男女を同じ枠組みで比較した研究は多くありません。
そこで本研究では、東京・丸の内14社のホワイトカラー従業員を対象に、女性の更年期症状および男性のLOH関連症状と、プレゼンティーズムとの関連を明らかにすることを目的として調査を行いました。対象は最終的に3,063人で、内訳は40歳以上の女性1,151人、30歳以上の男性1,912人でした。

2 研究結果
本研究では、女性では簡略更年期指数(SMI)、男性ではAging Males’ Symptoms scale(AMS)を用いて症状の程度を評価しました。その結果、中等度以上の症状を有する人は、女性で27.9%、男性で28.4%と、男女ともに約3割にのぼることが分かりました。
また、症状の重症度が高くなるほど、プレゼンティーズムも高くなることが確認されました。最終調整モデルでは、症状がない群と比べて、女性では最も重い更年期症状群でプレゼンティーズムの相対リスクが約3倍、男性では最も重いLOH関連症状群で約4.2倍でした。
さらに、症状の分布をみると、女性ではSMIのレベル0~4、男性ではAMSのレベル0~3に応じて、症状を抱える人が段階的に存在しており、仕事のパフォーマンス低下は一部の特別な人だけの問題ではなく、働く世代に広く関わる健康課題であることが示されました。PPT案では「仕事に来ているのに力を発揮しにくい日」は、女性だけでなく男性のLOH症状でも重要な職域健康課題であると整理されています。

3 まとめ
本研究により、女性・男性を問わず、更年期・加齢に伴うホルモン関連症状が重いほど、職場での生産性低下と強く関連することが示されました。特に、症状の有無だけではなく、症状の重症度に応じて仕事への影響が段階的に大きくなる「用量反応関係」を、日本の働く男女を対象として示した点に意義があります。
この結果は、更年期症状を個人の問題としてのみ捉えるのではなく、相談しやすい職場づくり、柔軟な働き方、産業保健や医療との連携など、職域における健康支援の重要性を示すものです。今後、女性の更年期支援だけでなく、男性のLOH関連症状を含めた中年期の健康支援の充実が期待されます。
論文掲載
| 論文タイトル | Are menopausal and andropausal symptoms associated with presenteeism? A cross-sectional survey of white-collar employees at 14 large corporations in Tokyo, Japan |
|---|---|
| 掲載誌 | BMJ Public Health |
| 掲載日 | 2026年9月24日 |
| 論文URL | https://bmjpublichealth.bmj.com/content/4/3/e005154#fn-group-1 |
