大学紹介

平成27年度入学式での中村学長式辞

2015年4月9日

入学式での学長式辞の様子

 御入学おめでとうございます。

 皆さんが、神奈川県立保健福祉大学を選んでいただいたことに、心から感謝申し上げます。本日、学部入学者245名、大学院入学者23名、計268名が入学しました。皆さんは、看護師、管理栄養士、社会福祉士、理学療法士、作業療法士のような専門職になることを目的に入学され、さらに高度な知識や技術を習得されるために大学院に入学されました。本日から、同じ志を持った者が、横須賀のこのキャンパスに集合し、一緒に学ぶことになります。
 そこで、今日は、共に学ぶために、同じ屋根の下に集まった意義を考えてみたいと思います。私は、最近、不思議に思っていることがあります。それは、IT技術が進歩し、便利なメールにより、いつでも、どこでも、他人とコミュニケーションすることができるのですが、多くの人々が何とも言えない孤独感を感じていることです。特に若者は、毎日、毎日、たくさんのメールを受け、さらに発信していながら、真の友達が欲しいと言います。なぜ、でしょう。

 先日、人類進化論学者として有名な京都大の山極壽一(やまぎわじゅいち)総長の論文を読みました。それによると、ニホンザルは、初対面の時、相手を見つめるのは強いサルの特権であり、弱いサルは決して目を合わせないそうです。目を合わすと挑戦だと受け止められて、攻撃されるからです。しかし、ゴリラは違います。お互いに顔を見つめ、目をそらすことなく、見つめあうのです。目と目があっても決して攻撃はしません。
 それは、サルの社会が勝ち負けによって、秩序を維持してきたのに対して、ゴリラの社会は勝ち負けを決めずに、第三者の仲介により、平和を維持しているためだ、そうです。勝ち負けの勝負で、相手を屈服させて秩序を手に入れたとしても、勝者が利益を独り占めし、勝者と敗者は対等ではなく、友達になることもできません。一方、ゴリラには、相手を屈服させたり、押しのけたりすることはなく、お互いのメンツが保たれるために、対等性を維持しつつ平和を守ることができるのです。もちろん、友達を失うこともありません。
 つまり、ゴリラの初対面は、優劣を決めるものではなく、互いの温かい関係性を確かめ、見つめあうことで、信頼性を獲得しようと努力するのです。
 実は人間はサルではなく、ゴリラと共通の祖先から進化しました。

 人類は、歴史的には、何度も、戦いを繰り返していますが、理念としては、勝者が社会を支配して安定を保つサル社会ではなく、お互いが理解して平和を保つゴリラ社会を目標にしていると信じています。
 従って、人は、顔を見合わすことのないメールのやり取りだけでは、心を満たすことがでず、孤独感を感じてしまうことになります。それが故に、人は、電話やメールで済ますのではなく、足を運んで人に会いに行くことを価値ある行動だと評価し、愛する人や信頼できる人には無性に会いたいと思うのです。そして、このような人間関係の積み重ねが、信頼される社会を作るのだと思います。

 IT社会の進歩は、効率性を重視するあまりにコンピュータ社会を拡大し、授業や大学そのものをバーチャル化しつつあります。しかし、幸いにして、私たちは、本日、このように同じ屋根の下に集まることが出来ました。今日から、初対面の同級生や教職員と、しっかり挨拶をし、お互いに顔を見つめあい、信頼関係のもとに勉学に励んでください。大学で出来た真の友人や恩師は、必ずや一生のよき友となり、よき理解者になってくれます。

 本日は、ほんとうにおめでとう。

 

 

保健福祉大学長
中村 丁次

 

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