Research

戻る

研究内容紹介

戻る

「理論・アプローチ、そして価値」を伝え続ける

氏名
川村 隆彦
所属
社会福祉学科
研究分野
臨床ソーシャルワーク
キーワード

ソーシャルワーク理論・アプローチ/価値・倫理/スキルトレーニング

取り組み内容

私がソーシャルワークを学んでいた当時のアメリカは、深刻な問題と闘っており、虐待、ホームレス、AIDS、麻薬、依存症…家庭崩壊は目の当たりに起きていた。そのためソーシャルワーカーは、クライエントを助けるための方法をいつも探していた。教室ではソーシャルワークの理論・アプローチをいくつも検討し、現実に応用していた。今、私はその続きを日本で取り組んでいる。

最初の課題は、理論・アプローチを分かりやすく示す書籍がないことだった。そこで3年かけて理論・アプローチのエッセンスを抽出、体系化して、誰もが活用できる書籍として2016年に「ソーシャルワーカーの力量を高める理論・アプローチ」を作成した。その後、理論・アプローチを、直接、実践者に教えるためのワークショップを毎年10回程度、開催し続けている。社会福祉士養成の新カリキュラムにおいて、理論・アプローチの分量が増えたことは、ひとつの成果である。

 

ソーシャルワーカーの価値・倫理を分かりやすく伝えるための活動は30年近く続けている。価値・倫理は、専門職の土台であり、非常に重要であるが、実際に浸透させることは容易なことではない。当時、日本には価値・倫理を学べる本がなかったため、「ソーシャルワーク倫理ハンドブック」「価値と倫理を根底に置いたソーシャルワーク演習」「支援者が成長するための50の原則」を著し、学生や現任者への教育、スーパービジョンを活性化し、体制を整えようとした。その後、現在の「ソーシャルワーカーの倫理綱領」の草案を作成し、とりまとめた。現在も、価値・倫理をどのように伝えるのか、ワークショップを継続的に開催している。

メッセージ

私は、ソーシャルワーカーたちを支えることで、間接的に、クライエントを支えたいと考えている。彼らがしっかりした価値・倫理を土台に、人権、社会正義を尊び続け、クライエントの問題解決を助けるための理論・アプローチを学ぶなら、苦しんでいる個人や家族に希望をもたらすだろう。

前のページに戻る