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研究内容紹介

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地域生活支援の価値と仕組み -障害者グループホームに着目して-

氏名
在原 理恵
所属
社会福祉学科
研究分野
障害福祉
キーワード

地域生活支援、グループホーム、権利擁護

取り組み内容

多様な存在を地域社会において尊重していく具体的な方法の一つとして、障害者グループホームに関心をもってきました。グループホームは小さな施設ではなく、一人ひとりの入居者にとって安心できる住まいであり、個性的で個別的な暮らしを実現するために必要な支援を受けることができるところです。

 

私はこれまで、障害者グループホームに携わる実践者の方たちと共に、急速に多様化してきている障害者グループホームの実態を捉えるための調査研究を行ってきました。障害のある人が家族ケアに頼らず、社会的な支援を活用して自分の暮らしを創っていくために必要な資源が不足している現状において、グループホームは質量ともに膨大な期待をかけられている状況にあります。グループホームを必要としている人達は非常に多様で、比較的自立度の高い人も多くいますが、医療的ケアが必要な人や行動障害がある人など、手厚い人的支援が必要な人達もいます。また、入居者の高齢化に伴う状態変化への対応も課題となっています。それらに対応していくためには、グループホームの事業所単体ではなく、地域的な多事業所の連携が必要ですし、一法人内で完結する支援ではなく、多法人連携も必要です。さらに、障害福祉サービス内に留まらない発想での支援が必要になってきており、仕組み作りには行政との協働も欠かせません。それらの何層にも必要な協働の仕組みのあり方を模索し、先進的な地域の取り組みを汎化させていくことに資する研究をしていきたいと思っています。

 

そして、仕組みを作り、動かしていくためには、地域生活支援の価値や目的の再認識が必要です。援助者間で共有できる目的、社会成員が共有できる価値はどのように主張し得るのか。それを改めて検討するための方法として、歴史研究があります。国や自治体がグループホームを制度化する以前から、障害のある人達が地域の住居で集住する営みがあり、そこに関わる援助者たちがいました。その営みが大切にしてきた価値を改めて記述していくことが重要だと考えています。

メッセージ

生活支援に携わる人たちが、身近な支援者として本人から信頼され、本人の意向表出を受け止めて応答していくことは、共生社会づくりに欠かせない権利擁護実践です。今後、障害の重さや支援の難しさによって暮らし方を限定されることのない地域社会と支援体制を構築していくためには、日々の暮らしを身近で支える生活支援の意義を重視し、そこに必要なコストを充当する必要があります。その正当性をいかに主張し、社会的合意を形成していけるかが課題です。

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