学長式辞(平成26年度卒業式)

2015年3月17日

中村学長式辞

 本日は、黒岩神奈川県知事をはじめ、多くの皆様方にご出席いただき、このような卒業式及び修了式が挙行できたことに、心から感謝申し上げます。

 皆さんが、この保健福祉大学に入学され、今日、この日を迎えるまでには、いろいろなことがあったと思います。しかし、そのような中で、必死の思いで学業に励み、見事に卒業及び修了できるようになったことを心からうれしく思います。

 皆さんは、この大学で、それぞれの専門領域における知識と技術を学ぶと同時に、ヒューマンサービスという名の下で、人々に手を差し伸べることの意義と方法を学びました。
 一方、皆さんの多くは、高度経済成長が終焉し、バブル経済の崩壊後に生まれました。環境問題が深刻になり、地球サミットが始まったのは、皆さんの世代です。少子高齢化が進み、3.11という大きな試練をも経験し、我が国は、今、大きな転換期を迎えています。
 このような中、心得ておいて欲しいことがあります。皆さんが習得した知識や技術、さらにその理念が社会に出てすぐに役にたつわけではなく、激しく動く社会の現実は、学んだ内容とは異なり、そのギャップに戸惑い、悩むに違いないのです。しかし、大切なことは、決して諦めないことです。これから、何度も越えられない壁を、越えていかなければなりません。一度や二度の挑戦ならだれでもできます。大切なことは挑戦し続ける事であり、越えられない壁を越えた時、人は、本当の喜びを感じることができるのです。

 さて、卒業にあたり、今日は、皆さんに夢の話をします。皆さんには、大きな夢があります。それは、とてもよいことであり、夢は、大きければ大きいほど価値があり、楽しいものです。私は、団塊の世代と言われ、当時、キャンパスは荒れ果て、多くの大学では卒業式は挙行されませんでした。しかし、その時でも、将来に対する夢はありました。
 この年になり、私は、ある学生から「先生の夢は何ですか」と聞かれたことがあります。不思議なことに、すぐに答えることが出来なかったのです。「そうだね、老後が安心して送れることかな」と言いかけたのですが、それは夢とは言わないと思い、沈黙してしまいました。
 若い皆さんは不思議に思うことかも知れませんが、人は、年を重ねると夢をあまり見なくなります。それは、若いときに見た夢が実現したり、破れたりして、夢が現実によりかき消されていくからです。
 しかし、夢を見なくなった大人でも、毎朝起きれば、今日も一日がんばろうと力がわき、明日を信じて生きることができます。それは、何なのでしょうか?
 私は、人は、志なら死ぬまで持つことができるからだろうと思います。辞典で調べてみると、夢は、希望、願望あるいは空想をも含めた、将来実現させたいとする思いであると示されています。一方、志は、将来に対する希望や願望をかなえようとする強い決意をいい、その決意には他者に対する深くて、広い思いが含まれているとされています。
 つまり、夢が自己実現を目指す思いであり、志には社会に貢献する公益性を含んだ強い思いが存在しているのです。人は、いつまでも、志なら持つことが出来るから、現役を退いた高齢者でもボランテイア活動に励むことが出来、いつになっても社会の不条理を憎み、死ぬまで、世のため、人のために尽くすことができるのだと思います。

 皆さんが、学んだこの保健福祉大学は、看護、栄養、社会福祉、リハビリテーションの専門職を養成することを目的としています。また、同時にそれぞれの領域のリーダーを養成することを目標に掲げています。リーダーにはいくつかの条件が必要であることを既に皆さんは学ばれました。私は、中でも、高い志を持つことが重要だと思います。単に自分の夢を追いかけるだけのリーダーが、その組織や国家を不幸にした事例は、歴史上何度も登場します。この大学で学んだことに誇りを持ち、高い志を持った夢を抱いて、この学び舎を去ってください。

 最後になりますが、皆さんと過ごした日々は、私ども教職員にとっても貴重な経験であり、一緒に多くのことを学ぶことができたことは、大いなる喜びでした。皆さんが、私どもの学生であったことをすべての教職員は、誇りに思っています。

 卒業生及び修了生の皆さん、本当におめでとう。

保健福祉大学長  中村 丁次

このページの先頭へ